vol.7 「名前に込めた想い」

どこからともなく国生さゆりさんの「バレンタイン・キッス」が流れてくる季節になりました。あれ、私去年あげたのにお返しもらってないな。と頭に浮かぶのが数人。今年2倍にして返してあげようという1年越しのサプライズだと信じています。ね、編集長!笑 今月も元気にはんこを彫っています、あやとりやです!

 

「ところで、あやとりやさんって、あやとり得意なんですか?」

 

そんな質問を受けることがあります。正々堂々と答えましょう。

私はあやとりできません! どーん

 

えええ、あやとり出来ないくせに屋号にあやとりやって付けているの…ざわざわ…えーありえなくない? ざわざわ…え、ちょっと待って! 違うの、聞いて!笑

どうして私が屋号を「あやとりや」にしたのか。今月はそれを紐解いて行きましょう。さあ、ここでスーパーひとし君を置いておくかどうかが勝負の分かれ目です。ここは慎重に行きましょう、世界ふしぎ発見・・・っと失礼、だいぶあやとりやワールドを繰り広げておりました。笑

 

話は戻って、まず本格的にはんこを作り売りし始めた時に、必要になった屋号。何にしようかなぁ。とりあえず本名が「彩乃」だから、そこから屋号考えるかなぁ。当時、保育士の資格を取るべくして子どもたちと触れ合っていた私。その時ある光景が目の前に! そう、子どもたちがあやとりをしていたのです。そこでピーンと閃きが!

 

「あやとりは、ひとりでも楽しめるし、お友達と一緒に楽しむことも出来る」

 

…ってこれだ! 私が作るはんこも、自分の暮らしを彩ることも出来て、誰かへのお手紙や贈り物にぽんと捺したり、メモに使ったり、はんこを共有で使ったりしてほしい。本名も入っているし、それに「彩り屋」って素敵かもしれない! なんて。

 

ちょっと前の話になるんですが、年末のイベントの時にはんこを捺してポチ袋を作るというワークショプをしました。熱心にはんこを捺してくださっているご婦人がいたので、捺し終わった後にちょこっとお話タイム。

 

「誰宛のポチ袋にされるんですか?」

「これは来年就職する大学生の娘へのお年玉に使おうかなと思っているの。就職で県外に行くんだけどね。これが最後のお年玉なの。最後にあげるお年玉が自分で作った袋を使えてよかった。」

 

このお話を聞いた時、感慨深くなってしまって、思わず泣いてしまいそうでした。だって娘さんを想ってはんこを捺すって、あまりにも素敵で。その温かな想いに少しでも加わることが出来て、私まで心が満ちました。

 

私ははんこを通して、目の前の方の笑顔を見る。でもきっとその背景にはそれぞれ家族や生活があって、きっとその誰かがまたはんこを見たり、もらったりして、ほんの少し笑顔になる。

 

「あやとりや」は、あやとりは出来ないのですが、あなたの暮らしをほんの少し、彩ります。

Ayatoriya’s Profile

「あやとりや」という名前で活動しているけしごむハンコ作家です。 宗像は初めての就職先だったり、作家として活動するようになってからも、何かと御縁を頂いております。この連載では宗像の事のみならず、日常で心が動いたことをお伝えできたらなと思います。どうぞ、ゆるゆるタイムのお供になれば・・・。

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