LiV issue050

Contents

Features

Seiya Asanoが描く
映画に迫る。

Regulars
・2020(ニーゼロ) No.2 My 23th birthday / Yuuki
・Seiya Asanoの2020年映画の旅
   7th Film. 「美女と液体人間」
・スペースニャンベーダーリヴネコ 第48話
「ゲーム開始」
・YOKOYARI BROTHERSの水差し論「VS.ヨコヤリアラート」
・宇井のクリエイター発掘ラボ No.21 「ミルク ぱく子」

Features

Seiya Asanoが描く映画に迫る。

映画ライターでもあり映画監督でもある 宗像在住のSeiya Asanoによる 初の企画・脚本から手掛けた自主制作映画「雀色の永訣 / From Here To.」に迫る。 彼はどんな想いでこの映画を制作したのか。

宗像で撮る。

編集長(以下:編):本編を拝見させていただきました。まず感じたのはロケーションへのこだわりです。浅野監督自身の出身地で撮影するという点においては何か特別な想いがあったのでしょうか。

Seiya Asano(以下:A):本作は2つのロケーションで撮影を行いました。日の里団地とさつき松原海岸、いずれも宗像市での撮影です。
僕自身や製作クルーは宗像に所縁がありますが、上記ロケ地を選択したのは〝所縁〟があるからという理由ではありません。特にさつき松原に関しては、画作りをするにあたって最高のロケーションを選んだ結果がさつき松原海岸だったと僕は思っています。

編:ある意味、運命とも言える巡り合わせですね。

A:そうかもしれません。とはいえ、僕にとって宗像は〝映画に収めたい〟と思わせる景色がいくつも眠っている場所ですね。

雀色の永訣/From Here To.
Seiya Asano監督作品 / A BAND A NERD FILM
愛する家族を失った二人を 一つの場所と五つの時代で映し出した中長編映画。 姿を消した妹への思いと深い後悔。 残された者の葛藤をドキュメンタリータッチで描いている。
企画・脚本・撮影 Seiya Asano / 主演 東吾優希・永田はるか / ロケ地 宗像市・さつき松原

 

作品のメッセージ

編:この映画は「実際の事件」から着想を得ていると伺いました。

A:はい。 あくまでも、着想ですが。

編集:というと?

A:確かにおっしゃる通りで、物語はその事件のことを明確に想起させるようにリードしている内容です。
しかしながら、それはあくまで作品の根幹にあるメッセージへ繋がる「共通認識」であって、ここから真のテーマに対して思考する余地を残しています。
勿論、「事件それ自体」が本作のテーマだと感じても間違いではありませんが、本作の奥にあるメッセージは「悲劇の普遍性」なんです。

編:普遍性かぁ。

A:はい。「普遍性」と言うと、「悲劇が起こるリスクの身近さ」という風に捉えられるかもしれません。そのような「身近さ」は「当事者との近い距離感」を示しているに過ぎなくて、実在の被害者家族は非当事者である僕たちにとって「他者」と定義してしまう可能性があるんじゃないかって。『雀色の永訣』はその感覚を否定しつつ、我々が既に持っている感情や記憶を強調しています。これ以上の言及は避けますが、もっと内面的な部分にテーマが存在します。

編:なるほど。「こういうことがあなたの周りで起きるかもしれないよ!」という事件に対しての注意喚起が終点ではないんですね。登場人物たちにとってその事件は「重要な局面」であって、作品の全てでは無いと。

A:その通りです。そこを改めて考えることで、日常生活が無造作に奪われる恐ろしさを感じられると共に、事件や災害の当事者達にも寄り添えるのではないかと思います。

編:そうか。でも人間って忘れるんですよね。何度繰り返しても『日常の尊さ』を忘れてしまう。そこに気づけなくなってくる瞬間がある。

A:そう。だからこそ、観た人の心の中にそれぞれ正解が生まれてきて欲しいんです。もうその人の隣に答えはあると思っていて。
映画は気持ちを共有できるコンテンツだと思うんです。全く違う人生を歩んできたもの同士が共感し合えるってよく考えたら不思議ですよね。作り手としての希望としては、観た者同士で意見を語り合って、僕にも遠慮なくレビューして頂けたら嬉しいですね。

BAND A NERD

編:本作はBand a Nerdとして初の長編作品ということですが、そもそも同チームは映画がきっかけで発足したのでしょうか。

A:いえ。当初は地元で開催する映画のイベントに向けて結成した市民グループです。メンバーは同世代3人です。

編:じゃあ、もともと映画制作のために集まったわけではなかったんですか!

A:そうなんです。でも今考えてみれば自分でも驚くほどトントン拍子で。最初はイベントに関する活動に限定されていましたが、ある時3人の適材適所で映画が撮れてしまうんじゃない? と。そこからは、、もう気づいたら撮影してたくらいのスピード感でしたね。
もともと個人的に短編作品を撮っていましたが、チームになってからはより本格的に映画の構想が浮かんでくるようになりました。本作もそのひとつです。

編:まさに縁ですね! なにかBand a Nerdとして映画を作るきっかけが?

A:去年の7月に僕のスプラッター映画愛が高じて製作した「血みどろの淑女」という短編映画ですね。

編:Band a Nerdとして撮ろうと?

A:というよりはまずこのメンバーで映画を撮ろうというのが最初の発想で。 編集の際、遊び心でオープニングに「架空の映画会社」として〝Band a Nerd Film〟 というのをクレジットしたら、それがしっくりきてしまって。
というのも、この名称自体1964年の映画『Bande à part』(邦:はなればなれに)からサンプリングしたものだったんです。それ以降は気に入ってコンスタントにBand a Nerd filmとして作品を公開してきました。
次第に独立系映画制作チームとしての意識が高まっていき、今では作品ごとにメンバー以外の同世代が仲間に加わってくれることもあります。『雀色の永訣』も活動に賛同してくれる新たなクルーに恵まれて出来上がった作品です。

編:いやぁ面白いなぁ。映画のイベントのために発足したチームが自然と映画を制作するチームへとなっていったわけですね。

A:僕たちはそうなるべくして集まったんだと信じていますし、このモチベーションは日が経つごとに大きくなる一方です。仲間も募集しています。

編:この宗像で志を持った若者たちの先頭を切っていくわけですか。宗像、もっと言えば福岡や九州で映画を撮りたいとか出たいとか表現したい若者が集まってくる場所になるといいですね。昨今の流れから見ても今後は、「東京にいなければ映画は作れない」というような常識も変わっていくのかもしれないですしね。

A:僕たちはそうなると思いますよ。

編:話を聞いていて「いい映画はまず、いいチーム作りから」というような気概を感じます。

A:正にそう考えています。志と情熱を注いだ素晴らしい映画を創り出すことも勿論ですが、チームとしての在り方も確固たる信念をBand a Nerdは掲げています。
悲しいことに、夢や希望を持った若者を食い物のようにするとんでもない組織や権威主義者もやはり、一定数いるというのが現状です。特にこういったメディア関連の業界ではそういった話が後を断ちませんよね。ここにいても聞こえてくるんですから、実際はもっと見えない場所で、苦しんでいる小さな声が沢山あるはずです。そんな不条理がいつまでもまかり通っていい訳がありません。
だからこそ僕たちは信念を貫き、いずれBand a Nerdに憧れ、慕うような方々が現れるようなそんな存在にならなければいけないと考えています。

編:楽しみにしています。最後に一言、お願いします。

A:愛情と正義を持って真っ当な向き合い方を続けていれば、きっと映画のクオリティにも反映されると信じています。  苦しみも喜びも、過去も未来も、僕たちには背負っているものがあります。それを世界に叫ぶのが、Band a Nerdの使命です。


この『雀色の永訣』はクラウドファンディングを予定しており、 これは国内外の映画祭に挑戦するために必要な資金と、 グッズ等の製作費用に充てられます。
※お知らせは各SNSで行いますので フォローよろしくお願い致します!
展望としては、やはりベルリンやサンダンスを始めとした 名高い映画祭での上映と、正式な劇場公開です! (Netflix等での配信も含みます) ちなみに、次作となる短編映画も企画が進行中で、タイトルは初めて公表しますが 『Tomorrow is My Turn』です。

BAND A NERD 公式YouTubeチャンネル

クラウドファンディングの告知や公開日、次回作などの情報はSNSにてお知らせします!

Regulars

(ニーゼロ)

vol.2 My 23th birthday / Yuuki

@Satsuki Matsubara

私の同級生の多くは
今年度から新社会人だ。先日、中学時代からの親友達と
テレビ電話で会話した。
明日の予定も、
悩みの種類も、
あの頃とは全然違う。
それでも生まれる安心感。スカートの裾を揺らしながら
走り回った頃に
一気に引き戻されてしまうような気がした。とはいえ現実は
『二十代はあっという間に過ぎる』という定説の通り。
大人としての毎日に
慣れる間もなく
貴重な二十代だけはどんどん消費されていく。ちゃんとした大人になれているのだろうか、
自分という生き物を、未だに飼い慣らせていない。
ところで、帰郷してからなのか。
夜道をひとりで歩くのが
こわくなっていた。
東京にいた3年前、
二十歳のわたしには
そんな感覚は備わっていなかったはずだ。
思えばあの頃
ひとりで生きていくことを
平気にするのに
必死だったような気がする。
だけど、必死に強がったあの頃よりも
たぶん今の方が遥かに強い。
ひとりで生きていくことなんて
さっさと諦めたもん勝ち。
そうして初めて、
『ちゃんとした大人』になっていくんだと
近頃、なんとなくそう思う。
夏がきた。
わたしはこの場所で、
大好きなこの場所で、
また一つ、歳をとる。

 7th Film. 美女と液体人間

 今回は日本特撮映画史の「猪木・馬場タッグ」本多猪四郎 & 円谷英二 大先生達による『美女と液体人間』を紹介致します。ゴジラシリーズが代表作として名が知られる同タッグですが、本作ではよりアダルトかつ社会的な題材を据えた怪奇スリラーとして定評を得ています。
※本作から『電送人間』『ガス人間第一号』。そして番外編の『マタンゴ』(これは僕の超絶お気に入り)を含めた4作品は「変身人間シリーズ」とされています。

トレンドだった「核×映画」

『美女と液体人間』では核実験によって発生した放射線の影響で、体を液状化出来てしまう「液体人間」に変異した人物が登場します。

本作が誕生した1950年代には、「核の脅威」を大々的に掲げたSF映画がハリウッドを中心に多く制作されています。53年の『原子怪獣現わる』を筆頭に、『放射能X(54)』や『戦慄!プルトニウム人間(57)』などなど例を挙げればキリがありませんが、このトレンドは当時の世界情勢を反映しています。

第2次世界大戦直後から1989年まで世界は米国を主軸とした西側と、ソ連を主体とした東側。そしてどちらにも属さない第3世界に分かれ冷戦が繰り広げられていました。熱戦(軍事力の衝突)を伴わない戦争だったため、この資本主義勢力と共産主義勢力の対立が「冷戦」と称されるに至りました。 しかしながら、直接の殴り合いは行わないにしても互いを牽制し合うためにはシャドーボクシング的方法で実力を誇示する必要があり、この究極系が大国による核実験でした。

中でも54年に米国がビキニ環礁で実行したキャッスル作戦では、当初「安全区域とされていた」エリアで作業していた数百隻もの漁船と約2万人の船員たちが巻き込まれるという最悪の事態を招き、その一つが日本のマグロ漁船「第五福竜丸」でした。船員23名全員が被爆し船長の久保山さんは実験から半年後に不帰の客となり、核実験の暗黒面が露呈されました。

『美女と液体人間』に登場する漁船「第二竜神丸」が第五福竜丸をモデルにしていることは明確です。広島・長崎とビキニ環礁での事故を含め、本多さん・円谷さんの巨匠タッグだからこそ実現できた「核の脅威と被害者の無念。そして怒り」が本作なのです。

Seiya Asano
95年生まれ。宗像市出身の元格闘家。現在は映画ライター兼自主制作映画監督として活動。「観てない人には是非興味を!観た人には是非知識を!」をモットーに、映画をメディアやイベントで解説。また、自身が編集・DJを務めるラジオ『RADIOMKC』をYouTubeにて配信中。 生涯ベスト3は『ぼくのエリ』『続 夕陽のガンマン』『顔のない眼』Youtube Ch. → Munkata City
 やあ諸君。緊急事態宣言は解除されたというもの、まだまだ収束したわけではない。解除した後にクラスターした地域もあるし、とある病院ではオーバーシュートだ。3密は相変わらず意識しないといけないから、世の中ではいろんなところでソーシャルディスタンスを守るための対処がされているな。東京も解除後にすぐに「東京アラート」が出たよな… 一体どうなるんだ世の中…
 いや、どうなってるんだよ! 世の中! とりあえずこのコロナで世間が騒がれている時期に広まった「ワード」を並べ立ててみたが、新しい言葉出過ぎだろ! 納得いかねえなあ!  この緊急事態の期間でバタバタしている中、驚いたのは新しいワードがどんどん出てきて、しかもそれらを世間の人は、 「あ〜、クラスター出たか。クラスターね。うん、気をつけよう」 って、さも「前からその言葉を使ってました」みたいな顔して言うだろ? なんでだよ!
 前にも「すぐ業界用語を使いたがる人」というヨコヤリ回があったが、あれはいわゆる「意識高い系」の人に対して言ったものだ。でも今回は違う! もういよいよ国が「業界用語」みたいなものを使い出している!
「福岡県のなんたら病院で、集団感染が起こりました」でいいだろ? なんでいちいち「なんたら病院でクラスターが発生です」って言うんだよ! それを聞いた世の中の人はまず「クラスター」を「集団感染」に脳内で変換して、そして事態を把握するっていう一手間増えるんだぞ!?
 この間、当たり前のように「3密」って言葉を使ってる人に「3密、全部言える?」って訊いたら、「密集、密室、密閉、密接…あれ? 4つあるわ」って言ってたぞ! わかってないじゃないか!
 最近の「都知事が東京アラートを発表しました」みたいなやつも、そのニュースを見ながら「あ〜東京では東京アラートが出たのか〜」って思ってるけど、正直「東京アラート」がなんなのかわかってないからな!  結局のところ、言葉を端的にカッコよく伝えているつもりなんだろうが、伝わらなければ何の意味もない。
「『福岡県でオーバーシュートです!』」
「…オーバーシュート? お母さん、オーバーシュートってなんだっけ」
「さあ? サッカーの話?」
「え、これサッカーの話? あのなんか宙返りみたいにするアレ?」
「あなたキャプテン翼好きだったじゃない。小さい頃は『オーバーシュートしたいから体支えてよ〜』ってうるさかったわよね〜」
「あ〜… え、それオーバーヘッドキックじゃない?」
「あら? 確かにそうね。オーバーしか合ってないわ。」
 こんなちんぷんかんぷんな会話が、結構いろんな家庭で巻き起こってるに違いない!
 とにかく世の中は「緊急事態」だ。そんな時にこんな不毛なやり取りで時間をとられてたら「緊急」にならないだろ!  このコロナで一番身の危険を感じているのはお年寄りの方々のはずだ。そんな人たちに「アラート」だの「クラスター」だの「オーバーシュート」だの、ニュースを見て瞬間的に伝わると思うか?  横文字に頼りすぎな世の中、カッコ良さよりも正確に伝えることを重視してくれ!
 この間スーパーに買い物に行ったんだが、一向にバターが売り場に復活しないな! ずーっと売り切れ状態だ。マスクにしてもそうだが、このコロナの影響で出た「買い占め」問題、気になることだらけだ!
 まず商品を買い占めた奴、ちゃんと使いこなしているのか? マスクなんかは特に転売目的で買い占める人が結構いたようだが、結局市場にマスクが徐々に復活してきて転売もうまくいかなくなってきているわけだよな。
 バターはこの自粛生活の期間に、「子どもと一緒にお菓子作りがしたい」って言う理由で売れたわけだが、本当にちゃんとお菓子作りで使い果たした奴、手を挙げてみろ! 世の中の流行で「みんなお菓子作りしてるから…」ってだけでバターを買い占めて、結局「なんかめんどくさいわね」とか言ってバターを使わなかった家庭あるだろ! このミーハーが!
 一番納得がいかないのが「ハンドソープ」売り切れ事件だ! コロナだからってハンドソープを買い占めた奴、普段手洗ってないのか? 手を洗うなんて、言ってみれば日常の生活サイクルじゃないか。だからみんな普段通りにしていればいいだけなのに、売り切れるってのはおかしいだろ!
 結局何よりも大切なのは、自粛生活をしていてもきちんと健康に過ごすことだ。適度に運動して、しっかりと食事をする! どうせ買い占めるなら、飲食店のテイクアウトメニューを買い占めてやれ!
 今回はやけに真面目に世相を切ってしまったな。こんなイケメンな俺たちに惚れて「ヨコヤリクラスター」が各地で起こっているんじゃないのか? ロックダウンしろ〜ロックダウン!
※本記事の内容は個人の見解であり、所属する組織の公式見解ではありません。
クリエイター
発掘隊長
UUU計画 宇井 一八
クリエイターNo.21
ミルク ぱく子
牛乳パック作家/デザイナー
牛乳パックと豆乳パックをアップサイクルして、
バックや名刺入れ、小物を製作しています。
福岡を中心に出店、
Instagramのネットショップで販売中。

instagram
@milk_packco1020

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